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通信制高校のレポートとスクーリングとは?

更新日:2022年11月28日

通信制高校の学習は、本来生徒各自が自宅で教科書を使って自習し、その中で理解できなかったことや発展的な学習内容を、週に1回程度登校して、対面式の指導を受けることで理解を深めていくという方法です。


この対面指導が一般に「スクーリング」と呼ばれるものです。

それ以外の学習はプリント教材などを使った添削指導で補います。これが「レポート」です。


それでは、「レポート」と「スクーリング」についてもう少し詳しく説明しましょう。





レポート(添削指導)

 

多くの通信制高校で「レポート」と呼ばれているものは、教科書内容の理解を補助するための学習プリントです。基本的には、小学校や中学校でも使用した学習プリントと同じように教科書内容が簡潔にまとめられていることが多いです。


教科書を読みながら穴埋め式や、記号選択式で理解を深めていく問題のほか、理解を確認するために設問を設けて考えさせるような問題などを組み合わせて作られています。


生徒はこれらの設問に回答し、そのプリントを郵送などで学校に提出します。これに対して、教科担当の先生が採点を行うとともに、正答を導くための説明や補足的な知識などを書き込んで返却します。これが添削指導です。


このやり取りが本来の通信制高校の学習の形です。


今までは、このようなレポートの提出や返却は郵送で行われてきましたが、昨今ではインターネットが普及により、インターネットを活用してレポート学習や提出などのやり取りを行う学校も増えてきました。


しかし、「このような学習方法で高校生に必要な学習内容を身につけられるのか」という疑問を投げかける声も一方にはあります。




スクーリング(面接指導)

 

「レポート学習だけでは十分な学習指導にならない」との考えから、各教科一定回数のスクーリング授業を行うことが指導要領で決まっています。


スクーリング授業では、自学やレポート添削指導による学習内容のまとめや補足を行ったり、受講する生徒の理解度を担当の先生が直接把握したり、学習意欲を後押ししたりすることが想定されています。


教科書を通した文字や図表からだけでは十分な理解が得にくいような教科では、スクーリングは多めに行わなければならないとされています。


現行の高校指導要領では、国語や地歴、数学など、比較的に教科書からの学習が容易な科目を1とすると、実験や観察が大事な理科、さらに創作や演奏などの活動を伴う芸術、聞く・話すなどの活動が求められる外国語(英語)ではその4倍、実際に体を動かすことが求められる体育ではそれ以上の時間数を設定することとなっています。


これに従うと毎週1回以上の登校が必要になります。


ところが、多くの通信制高校ではそこまで多くのスクーリング時間を設定していません。

実際のスクーリング授業を行う代わりに、テレビ放送やラジオ放送、その他のメディアによる学習を取り入れることを条件として、スクーリング時間を一定時間免除してもよいということが指導要領で決められているからです。


これを複数組み合わせることで8割の授業時間を免除することができます。多くの私立通信制高校で年間数日間のスクーリングだけで卒業が可能としているのは、この制度があるからです。


スクーリング時間の減免を最大限に活用する多くの私立通信制高校と、スクーリング時間を多く確保する公立の通信制高校では、同じ通信制高校と言ってもその環境は大きく異なります。




通信制高校のこれから

 

一部の通信制高校については、レポートやスクーリングなどの学習指導のあり方、さらに卒業要件でもある特別活動や単位認定のための試験のあり方などについて、適正に行われていないのではないかという指摘も聞かれます。


こうした問題の背景には、学校設置認可の経緯による問題があります。本来私立高校の設置認可は各都道府県が行い、都道府県の私学部局と学校審議会が運営の監視を行っています。


一方で、広域通信制高校など、認可を受けた都道府県の外で広く生徒を受け入れている学校も多くあります。また、構造改革特区制度を活用して市町村が設置認可した通信制高校もあります。これら多くの通信制高校では、サテライトキャンパスなどと呼ばれる学習所を全国に展開しています。


こうした通信制高校に対して学校を管理する認可自治体では十分に監視の目が行き届かいないと言った問題があります。


これに対して文部科学省は現在、「広域通信制高校における教育の質確保のための所轄庁による指導監督の在り方に関する調査研究事業」という形で実態調査を行おうとしています。


同時に、通信制高校のあり方そのものが「新しい学力観」をもとにした新学習指導要領に沿ったものになっているのかという点も含めて、「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議」を立ち上げて検討を進めています。





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