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新しい時代の学校施設

更新日:2022年8月26日




新しい学校施設が求められる時代


小学校の児童数は1958年の1,349万人がピークで、その後一旦減少した後再び増加に転じ、1981年に約1,192万人まで増加します。そこからは今日までは減少の一途をたどり、現在ではピーク時の約半数にまで減少しました。


公立の小中学校施設は、昭和50年頃の児童生徒数急増期に一斉に整備されたものが多く、現在では建築後25年以上を経た施設が、全体の7割を超えていると言われます。


今後、学校施設の改修や建て替えなどが必要となりますが、Society5.0時代を目前に、新しい時代の教育に適した学校施設について検討が行われています。教育再生実行会議では、「老朽化対策と質的整備を一体的に行う長寿命化改修等を通じた積極的な整備を支援する」と提言しています。



「個別最適な学び」と「協働的な学び」


文部科学省は今年3月に「新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について」の最終報告を発表しました。そのキーコンセプトは、―“School for the Future”「未来思考」で実空間の価値を捉え直し、学校施設全体を学びの場として想像する―です。


そこでは、子どもたちには「個別最適な学び」と「協働的な学び」が一体的に充実され、ICT環境の整備により全国の学校で指導・支援の充実、校務の効率化等がなされているという姿がイメージされています。


「個別最適な学び」とは、各々の特性・学習進度・学習到達度等に合わせて確実な定着を図る指導の個別化と、各々の興味・関心・キャリア形成の方向性等に合わせる学習の個性化を指しています。


また、「協働的な学び」とは、クラスメイト・異学年や他校の子供・地域の人・専門家等多様な他者と異なる考え方を組み合わせ、より良い学びを生み出すことです。




学びのスタイルの変化


では実際に教室の中ではどのような学習が行われるのかというと、1人一台端末環境のもとで、1つの教室内で一斉に黒板に向かって授業を受けるスタイルから、PCやタブレットを通じてネットを介し、教師や他の生徒、校外の誰かとつながりながら学ぶ姿、教室内にとどまらず、多目的スペースなどでグループ学習を行う姿が想定されています。


また、「個別最適な学び」については、学校内においてもクラウド内の学習リソースに個別にアクセスして学ぶ姿も想定されています。クラウド内のリソースの活用は教職員の研修にも及ぶと考えられています。




片廊下一文字型からの脱却



明治以来の日本の学校は、直線の廊下に面して教室を一列に配置した片廊下一文字型が一般的でした。更に戦後多く作られた鉄筋コンクリート造の施設は、断熱化や照明の省エネルギー化などの観点から見ても問題がありました。


学びのスタイルが変化するに合わせ、黒板を向いた一斉授業を前提とした教室デザインも変化しなければなりません。


その1例として、現在の公立小中学校の普通教室の約7割が65平方メートル未満であり、平均面積は64平方メートルとなっていますが、標準の35人学級を考えると前述のグループ学習のようなシーンでは十分な広さとはいえません。


一般的な教室用机は、旧JIS規格では幅600ミリ×奥行き400ミリでした。これでは、教科書とノートを広げた上でタブレット等を同時に使用するのは困難でした。新JIS規格では、これが幅650ミリ×奥行き450ミリへと広げられたものの、まだ十分とはいえません。


新しい学校施設では、様々な学習スタイルに合わせて、向きを変えたり、机同士を組み合わせたりすることも想定し、さらにタブレットなどの機器も使いやすい教室の形状、新しい机の開発なども望まれます。

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