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小中一貫教育校が増えている。

更新日:2022年9月8日

小中一貫教育を行う学校が増えています。



2015(平成27)年、小学校と中学校の9年間の義務教育を一貫して行うことを制度化する学校教育法の一部を改正する法律が成立しました。それまでは国立大学の附属校や私立がほとんどであった小中一貫校が、市区町村立の学校でも全国的に増えてきました。


小中一貫教育が求められる背景の一つに「中1ギャプ」と呼ばれる現象があります。

小学校から中学校へ進学する際に、新しい環境での学習や生活に適応できなくなる現象です。


多くの調査で、生徒の暴力行為やいじめの認知件数、不登校児童数などが小6から中1へと進学した途端に跳ね上がることが確認されています。


複数の小学校から一つの中学へ進学するケースが多く、人間関係が大きく変化することも一因と考えられていますが、その他にも学習内容が一段と高度になることや、部活や定期テストなど新しい生活に対応しなければならないことなども関係していると考えられます。


小学校6年、中学校3年という6・3制にも見直しの必要があるとも言われています。現行の学制は戦後の新しい学校教育法の下で定められたわけですが、心身の成長の早期化により、小4~小5の段階で発達の段差があることも指摘されています。これに対して、小中一貫教育では、4・3・2制や5・4制など、発達段階を考慮した区切りの設定が可能になります。


小・中が連携することで、「小・中学校が互いに情報交換や交流を行うことを通じて、小学校教育から中学校教育への円滑な接続を目指す」ことで「中1ギャップ」の解消を目指そうとしているのです。


小中一貫教育では、小中相互の教員の乗り入れ授業なども行われています。小学校の教員が中学校での指導をイメージして指導できるようになることや、中学校教員が生徒の学習上の躓きの原因がどこにあるのかを想像できるようになるなどの成果が期待できるほか、新たにはじまる小学校の英語授業を中学の英語科教師が担当することなどが期待されます。



小中一貫教育を多くの自治体が検討する背景には、近い将来の学校統合・再編を見据えていることも考えられます。少子化により児童生徒数はピーク時にくらべ40%ほど減少しています。それに対して、学校数はあまり大きく減少していません。それによって、各学校はクラス数や1クラスの児童生徒数が減少し小規模化が進んでいます。この結果、適正とされる規模(12学級から18学級)を半数の小中学校で下回っていると言われます。


これら学校の維持や建て替えに要する費用は国や自治体の大きな課題です。小中一貫校教育により、統合再編の過程で小学校同士、中学校同士の統合だけでなく、小中学校を合わせて一つの施設に収容することも可能となります。



小中一貫教育は、学校が抱えている複数の課題を解消するためのものでもありますが、その他にも様々な教育的意義もあります。別稿ではそうした面にも目を向けてみましょう。


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