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    増える通信制高校と生徒数

    • 執筆者の写真: アキラ イハラ
      アキラ イハラ
    • 2022年5月11日
    • 読了時間: 4分

    更新日:2022年8月26日

    少子化により、生徒数も学校数も減少の一途をたどっている中で、通信制高校だけが生徒数も学校数も大きく伸びています。




    全日制と定時制を合わせた高等学校数は、平成2年には5,506校でしたが、令和1年には4,887校と619校減っています。一方で通信制高校は平成2年の84校から令和1年には253校へと3倍以上の増加です。特に数を増やしているのは私立の通信制高校で、17校から175校へと10倍の増加です。


    生徒数では、全日制高校と定時制高校の生徒数の合計が平成2年の約562万人から令和1年には約317万人と大きく減少する中で、通信制高校の生徒数は約17万人から約20万人へと3万人増加しています。私立の通信制高校だけを見ると、平成2年には約7万人から令和1年には14万人へと倍増しています。


    なぜ私立の通信制高校だけがこんなにも生徒数を伸ばしているのか。まずは改めて通信制高校とは何なのかというところから考えてみましょう。




    高等学校にも種類がある!

    高等学校を分類すると、設置者により「公立」と「私立」、勉強の内容からは「商業高校」や「工業高校」、「普通高校」、「総合高校」があります。


    「通信制高校」はこのような設置者や学習内容による分類ではなく、卒業するためにどのような方法で勉強するのかという面から見た分類です。これには「全日制高校」、「定時制高校」、「通信制高校」の3つの種類があります。



    全日制高校



    朝から夕方前まで、ほぼ毎日授業を受けて学習をすすめる学校で、1週間に30時限(1時限50分が一般的)程度の授業時間数が標準とされています。1週間30時限であれば、週5日で考えると毎日6時限程度の授業が行われていることになります。

    定時制高校

    「定時」という言葉の本来の意味は、一定の時間帯や時期をさしています。つまり全日制が1年間を通して一日中勉強することを前提にしているのに対して、「定時制」とは一日の特定の「時間」や1年の特定の「時期」に授業を行うことを意味しています。


    定時制高校は全日制高校に比べて1週間あたりの授業時間数が少なめに設定されており、週20時間程度で設定されているところが多いようです。5日制で考えると1日4時限授業ということになります。全日制に比べて1週間あたりの授業時間が少ないですから、卒業迄にかかる時間は長くなるのが一般的です。そのため多くの定時制高校では卒業までに4年間が必要となります。



    そのような定時制高校も、最近では様々なニーズに応える新しい高校の形態として「3部定時制」などと呼ばれるものも登場してきました。1日の授業時間が短い特性を利用して、「午前中」「午後」「夕方」の3つのコースを設定する高校の形です。


    かつて日本が現代のように豊かではなかった頃、家の仕事を手伝ったり外で働いたりしながら学校に通うことは珍しくありませんでした。そのため農閑期など仕事が手すきになる時期に集中して学んだり、1日の仕事が終わった夜間に集中して学んだりすることを想定した学校制度が必要でした。そうして作られたのが定時制高校です。



    通信制高校

    「全日制」「定時制」が時間的な違いによるものであるのに対して、「通信制」は学習のシステムそのものが違う教育課程です。


    「全日制」も「定時制」も学校に行って授業をうけることが学習の大部分です。これらの学校では「勉強した」=「授業に出席した」と考えます。そうすると「授業に出席しなかった(欠席)」=「勉強しなかった」ということになってしまいます。欠席が留年や卒業延期につながってしまうのはこうした考え方によるものです。


    通信制高校では、学習のメインは学校での授業ではありません。一般に「レポート」と呼ばれる教材を使った「添削指導」が学習の基本です。これに「スクーリング」と呼ばれる「対面指導(面接指導)」を組み合わせた形が全日制や定時制での「授業」の代わりになります。「スクーリング」として登校する頻度は全日制や定時制の授業に比べるとほんのわずかな回数なので、ほとんど学校に行かない形でも高校卒業を実現できるのが通信制高校ということになります。


    毎日学校へ行かなくてよい学校

    通信制高校が生徒数を伸ばしている要因の一つは、毎日学校に行かなくていよということでしょう。さらにほとんどの通信制高校は制服着用の義務もなく校則もゆるやかです。毎日の通学が必要ないため、教室内の人間関係によるストレスからも解放されます。


    文部科学省の調査では高等学校における不登校生徒数は、ここ10年間約5万人程度で横ばい状態です。中途退学種数は微減ながらも令和1年には約4万人で中途退学率は1.3%です。厳密にはこれに加えて通信制高校への転学者を調査する必要があります。


    義務教育段階で学校に馴染めなかった生徒や、全日制高校での生活に不適応を生じた生徒などが通信制高校へ籍を移すことで卒業証書を手にし、次のステップへの道筋を確保することができます。こうした役割から通信制高校は生徒数を伸ばし、株式会社を含めた多くの法人が通信制高校を開校したのです。

     
     
     

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