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    ランドセル問題

    • 執筆者の写真: アキラ イハラ
      アキラ イハラ
    • 2022年6月24日
    • 読了時間: 4分

    更新日:2022年8月26日


    ランドセル問題に注目が


    重いランドセルをなんとかしようと小学生が開発した「さんぽセル」。これはランドセルをキャリーバックのようにキャスターで運べるようにするツールですが、これに否定的な大人の発言からワイドショーなんかでも注目を浴びています。


    大きくなったランドセル


    ランドセルの大きさは、昭和の時代に比べると大きくなっているそうです。かつての教科書はB5サイズが主流でしたが、徐々にA4サイズが主流になってきました。それに合わせてランドセルのサイズも大きくなっているわけですが、現在は大きさに3つのパターンがあるようです。


    一つは、A4教科書に合わせた幅21.5cmのもの、次にA4クリアファイルが入る幅22.0cmのもの、さらにA4フラットファイルに対応した幅23.0cmのものです。



    ランドセルはどのくらい重いのか


    ランドセルが大きくなったから重くなったのかというと、そうでもないようです。ランドセル自体は革製で1.5kg弱から、クラリーノなどなら1.2kg前後と言われています。これは昭和の頃と現在でのものを比較してみてもあまり変化がないそうです。


    実際に子どもたちの負担になっているのは、ランドセルそのものよりも中に入れる教科書など。教科書+ノート+筆記用具、更に体操服、水筒、上履き、笛やピアニカ、絵の具一式、書道の道具などが加わることで5kgをはるかに超えてしまいます。


    更に増えたのがGIGAスクール構想で1人1台配られたタブレットPC。これがキーボードとセットで1.2kg前後とのこと。荷物の合計重量は日によっては10kg近い重さになります。



    教科書の重さ


    教科書は昔に比べると、1冊あたりがずいぶん重くなっています。その原因の一つに挙げられるのが脱ゆとり教育による学習項目の増加です。


    私はそれ以外に教科書の質の向上があると思います。昔の教科書に比べると、どの教科でもカラーページを多用するようになってきました。印刷技術の進歩も手伝って、数学や英語でも高精細のカラー写真が用いられています。これが教科書の重さに与える影響は少なくありません。


    また、日本の印刷物は一般に、欧米で使用されているものよりもずっと密度の高い紙が使用されているように思います。学生時代に初めて洋書を手にしたときにその軽さに驚きました。欧米のペーパーバックと日本の文庫本や新書本をくらべても、日本のもののほうがずっしりと重みを感じます。



    もはや教科書にカラー写真は不要


    しかし、せっかく生徒一人ひとりの手元にはタブレットPCが与えられたのですから、もはや教科書に高精細のカラー写真を載せる必要はないでしょう。教科書にはQRコードやAR技術などを用いて、写真はタブレットで確認してはどうでしょう。


    タブレット画面であれば拡大も可能ですし、動画へ誘導することもできます。そうすれば少なくとも教科書は薄く軽くできるはずです。


    そもそもこれからも教科書は必要なのかという議論も考えられます。デジタル教科書にしてタブレットに納めるか、容量の問題があるのであればサーバーに置く手もあります。そうなるとランドセルの中にはずいぶん余裕ができるのではないでしょうか。




    ランドセルはこれからどうなる?


    さらに、ランドセルがこの先いつまで生き残っていくのかということも気になります。小学校ではランドセルを使用することが暗黙の慣習となっていますが、そもそもランドセルを使用することは義務化されているわけではありません。


    実際私達の世代では、地域にもよるでしょうが、小学4年生くらいになるとランドセルではなく、スポーツバッグを通学カバンにしている人が多かったように記憶しています。当時は「ランドセルなんて子供っぽくていつまでも使っていられない」という感じでした。乱暴に扱って壊れたりもしてましたから。


    そして、中学では学校指定のバッグを使うところが大半です。小学校入学時にランドセルにかけるお金を考えると、その半額以下で丈夫なバッグが手に入ります。


    小学校・中学校と区別がはっきりしているとこの通学カバンの切替は自然ですが、義務教育学校を考えるとどうでしょう。9年間をひとまとまりで考え、4年-3年-2年などの区切りを設ける義務教育学校には、小学生・中学生という概念はありません。


    通学カバンだけでなくほとんどの学校で採用してる制服だって、6年次と7年次で切り替える合理的な根拠を失ってしまうと思います。


    慣習として定着したものが変化するのは容易なことではありませんが、現実的にそぐわない部分が出てくると、案外簡単に変わってしまうこともあるかもしれません。

     
     
     

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