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    EdTechと学校制度 - どうして毎日学校へ行かなければならないの?

    • 執筆者の写真: アキラ イハラ
      アキラ イハラ
    • 2022年5月20日
    • 読了時間: 3分

    更新日:2022年8月26日

    EdTechとは、EducationとTechnologyをあわせた造語です。教育現場においてIT技術を活用する動きの総称です。





    政府によるEdTechの推進


    政府は「GIGAスクール構想」を掲げ、学校現場のデジタル環境の整備に力を入れています。経済産業省では「未来の教室」事業を2018年から進めています。これは①学びのSTEAM化、②学びの自律化・個別最適化、③新しい学習基盤づくりの3つの基盤づくりを推し進める取り組みです。


    文部科学省でも、「Society5.0におけるEdTechを活用した教育ビジョンの策定に向けた方向性」を打ち出し、個別最適化された学びの実現やきめ細かい生徒支援、教師の指導の質の向上と負担の軽減などの実現を目指しています。




    このようなEdTech活用の具体的な側面では、例えば学校教育での知識習得にかかる時間を効率化して、生み出された時間を「探究・プロジェクト型学習」にあてることなどが考えられます。


    インターネット環境を利用したオンデマンド型の授業配信や海外の人材をストリーミングなどで結んだ英語学習活などもEdTechの一つです。他にもAIによる自動採点や学習過程の分析なども可能となります。





    どうして毎日学校へ行かなければならないの?


    「GIGAスクール構想」における1人1台端末環境により、生徒はいつでもどこからでも学習ソースにアクセスすることが可能になります。少なくとも知識習得の場所の多くは、学校内である必要がなくなります。


    学校教育は今日まで学校への登校を大原則として進められてきました。世界を見渡せば、命がけの危険を冒して登校する子どもたちや、往復に1日の半分以上の時間を費やすような姿がテレビ番組などでも紹介されています。


    日本国内でも日々多くの時間を通学に費やしている姿は珍しくありません。学校設置基準では、中学校の通学範囲は6km以内、概ね通学時間1時間を上限としています。毎日往復で2時間が費やされるのです。さらに、学校統合が進む地域では、通学環境を確保するためにスクールバス路線が整備され、多額の経費が投入されています。


    それ以外にも悪天候などによる事故や健康へのリスクもあります。それにもかかわらず毎日の登校に疑いを挟まないのはなぜでしょう。




    卒業認定には学習の客観的な記録が必要


    義務教育を含めて学校の役割の一つに「資格の認定」があります。小中学校では「卒業」の認定です。卒業は、学習指導要領に沿って編成された学校の教育カリキュラムである「教育課程」を修了することで認定されます。そして課程を修了するためには、定められた時数の授業を受けなければなりません。


    つまり、学校で授業を受けることが課程修了の要件になっているのです。これは、登校して授業を受ける際の出席簿の記録が、学習の唯一の客観的な記録であるからです。


    仮に、IT等を活用して同等の学習を自宅で行った場合、それを客観的に記録するシステムがありませんから、それをそのまま教育課程の修了に組み入れることができません。


    しかし、学習管理システム(LMS)などによって個人を特定した上で学習を記録できるとしたらどうでしょう。ブロックチェーン等の技術を活用して、個人の学習を記録できるとすれば、わざわざ登校して教師と対面しなくても済むわけです。家庭や学校外の教育施設などで行った学習活動も全て改ざんの余地なく記録できれば、学校外の学習のうち教育課程に沿ったものだけを課程修了の一部として組み入れることも可能になるかもしれません。






    すでに教室内にいなくても学習できる環境は整いつつあります。あとはEdTechを活用して学習を記録するシステムが整えば、小学校や中学校においても、登校や教室での出席は卒業の必須条件ではなくなるのだと思います。

     
     
     

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